生成AIで考えたブランド名は商標登録できる? 生成AI時代のネーミングと商標実務

ChatGPTやGeminiなどの生成AIを使ってブランド名を考える。
いまや珍しいことではありません。

  • 造語を大量に提案してくれる
  • 意味や語感の説明もしてくれる
  • 英語圏での印象まで教えてくれる

非常に便利です。

では、ここで疑問が生じます。

生成AIで考えたブランド名は、商標登録できるのか?

結論から言うと、
AIで考えたかどうかは、商標登録の可否に直接影響しません。

問題になるのは、
「その名称が商標として登録要件を満たしているかどうか」です。

この記事では、
特許庁の審査実務を踏まえて解説します。


AIが考えた名前でも、登録できるかどうかの基準は同じ

商標登録において審査されるのは、

  • 識別力があるか(商標法3条)
  • 他人の登録商標と類似していないか(4条1項11号)
  • 著名商標と混同のおそれがないか(4条1項15号)

などの点です。

AIが提案した名称であっても、これらの基準は一切変わりません。

つまり、

AIが作ったから登録できない

ということはありません。


むしろAIネーミングには落とし穴がある

便利な一方で、生成AIによるネーミングには注意点があります。

① 既存商標との衝突リスク

生成AIは、既存のブランド名を学習データとして含んでいる可能性があります。
そのため、

  • どこかで聞いたことがあるような名前
  • 微妙に有名ブランドに似た名前

を提案してくることがあります。

例えば、

  • 既存ブランドの語尾を変えただけ
  • 読み方がほぼ同じ

といった名称は、類似商標として拒絶される可能性があります。

AIが「新しい」と言っていても、
それは商標的に安全であることを意味しません。


② 説明的すぎる名称を提案しがち

AIは、ユーザーの指示に忠実です。

「高級感のある食パンのブランド名を考えて」と指示すれば、

  • Premium Bread
  • Luxury Bakery
  • High Quality Loaf

のような、商品の内容をそのまま説明する名称を提案しがちです。

しかし、これは商標法3条1項3号に該当し、
識別力不足で拒絶される可能性があります。

ネーミングとして自然でも、商標としては識別力が弱いケースが多いのです。


AI利用そのものが問題になることはある?

現行制度上、AIで名称を考えたこと自体が問題になることはありません。

商標制度では、

  • 誰が考えたか
  • どのように生まれたか

は基本的に問われません。

問われるのは、

その名称が出所識別標識として機能するか

という点です。

したがって、

  • AIが提案
  • 人が選択・採用

という流れでも、何ら問題はありません。


実務的に重要なのは「事前調査」

AIネーミングを活用する場合、
最も重要なのは商標調査です。

特に、

  • 同一・類似商標の有無
  • 同じ区分で登録されていないか
  • 著名商標と紛らわしくないか

を確認する必要があります。

AIが出してくれた候補の中から、

商標的に“通りやすいもの”を選別する

という作業が不可欠です。


生成AI時代のネーミング戦略

生成AIは、

  • 発想の幅を広げる
  • 造語のヒントを得る

という点で非常に有効です。

しかし、

  • 登録可能性
  • 将来のブランド展開
  • 海外展開の可能性

まで考慮するのは、AIよりも実務経験のある専門家の役割です。

ネーミングは「センス」だけでなく、

法的に守れるかどうか

が重要です。


まとめ

生成AIで考えたブランド名でも、商標登録は可能です。

ただし、

  • 類似商標との衝突
  • 説明的すぎる名称
  • 著名商標との混同

といったリスクは、従来と同様に存在します。

AIは強力なツールですが、
商標として安全かどうかの判断は別問題です。

ブランド名を本格的に使用する前に、
一度、登録可能性を検討しておくことをおすすめします。


ブランド名の採用・出願をご検討の方へ

生成AIは、ネーミングの発想を広げる強力なツールです。
しかし、その名称が商標として登録可能かどうかは、別途専門的な検討が必要です。

当事務所では、

  • 既存商標との類否調査
  • 区分選定を含めた出願設計
  • 登録可能性の評価
  • 出願から登録までの手続対応

を一貫して行っております。

ブランド名を正式に採用する前や、商品・サービス開始前の段階で、
具体的な出願をご検討の方は、当事務所までご相談ください。