YouTuber・インフルエンサーが商標登録すべき理由

「まだ個人だし、商標登録は必要ない」
「フォロワーが増えてから考えればいい」

YouTuberやインフルエンサーの方から、こうした声をよく耳にします。
しかし実務の現場では、活動が軌道に乗ってから商標トラブルに巻き込まれるケースが後を絶ちません。

チャンネル名、活動名、企画名、ブランド名――
これらはすべて、商標として守れる可能性がある重要な資産です。

この記事では、なぜYouTuber・インフルエンサーこそ商標登録を検討すべきなのかを、
現在の状況を踏まえてわかりやすく解説します。

チャンネル名・活動名は「ブランド」そのもの

YouTuberやインフルエンサーにとって、

  • チャンネル名
  • 活動名・ハンドルネーム
  • グループ名
  • 企画・シリーズ名

は、単なる呼び名ではありません。
視聴者があなたを識別するためのブランドです。

商標登録をしていない場合、

  • 他人が同じ名前で商品やサービスを展開する
  • 似た名前のアカウントが現れる
  • 自分が「名前を変えろ」と言われる

といった事態が起こり得ます。

特に、活動名を使って
・グッズ販売
・イベント開催
・企業案件
を行う場合、その名前は完全にビジネス用の標識になります。


人気が出てからでは「遅い」ことがある

商標の世界では、
「先に使っていた」よりも「先に登録した」ほうが強い
という原則があります。

そのため、

  • 自分が数年使っていた名前でも
  • 知名度が上がったタイミングで
  • 第三者に先に商標登録されてしまう

と、その名前を使い続けられなくなるリスクがあります。

実際に、

  • チャンネル名の変更
  • グッズ販売の中止
  • SNSアカウント名の変更

を余儀なくされた例も存在します。

「人気が出てから考える」では、
すでに手遅れになっている可能性があるのが商標の怖いところです。

実名は出せないが、実際によくあるケース(フィクションです)

― あるYouTuberがチャンネル名を変えるまで ―

Aさんは、趣味で始めたYouTubeチャンネルを3年ほど運営していました。
チャンネル名は自分で考えた造語で、「他とかぶらないし大丈夫だろう」と特に調べることもなく使い続けていました。

動画の内容は徐々に評価され、登録者数は10万人を超え、
企業案件やコラボの話も入るようになりました。

そこでAさんは、
「せっかくだから」とチャンネル名を使ったTシャツやステッカーを作り、
ECサイトでグッズ販売を始めました。

ある日届いた、1通の連絡

グッズ販売を始めてしばらく経ったある日、
Aさんのもとに、見慣れない法律事務所名義のメールが届きました。

内容は要約すると、こうでした。

  • Aさんが使っているチャンネル名は、
    すでに第三者によって商標登録されている
  • グッズ販売は商標権侵害にあたる可能性がある
  • 速やかに使用を中止してほしい

Aさんは最初、
「自分の方が先に有名だった」「何年も使ってきた」
と思いました。

しかし、調べてみると、その名称は
自分が活動を始める前に、別の業種で商標登録されていたことが分かりました。

選択肢は、思ったより少なかった

Aさんが取れる選択肢は、実際には限られていました。

  • 商標を無効にできるほどの証拠はない
  • 裁判を起こすほどの時間も費用もない
  • 企業案件を控えており、トラブルを長引かせたくない

結果としてAさんは、

  • グッズ販売を一旦すべて中止
  • チャンネル名を変更
  • SNSアカウント名も順次変更

という判断をしました。

長年積み上げてきた名前を手放すのは、
精神的にも大きな負担だったそうです。

「最初に調べていれば…」

後日、Aさんはこう話していました。

「名前を決めるときに、
商標のことを少しでも調べていれば、
こんなことにはならなかったと思います。」

このケースは、決して珍しいものではありません。

  • 悪意はない
  • 自分で考えた名前
  • 個人で始めた活動

それでも、商標の世界では通らないことがある
それが現実です。

このケースから分かること

このようなトラブルは、

  • 活動が軌道に乗った
  • お金が動き始めた
  • ビジネスとして見られるようになった

そのタイミングで一気に表面化します。

だからこそ、
「まだ小さいから大丈夫」な時期にこそ、確認しておくことが重要なのです。

(*この物語はフィクションです)


商標登録していないと起きやすいトラブル

YouTuber・インフルエンサーに多いトラブルとしては、次のようなものがあります。

  • 似た名前のアカウントが現れ、なりすまし被害が出る
  • 自分の名前を使った偽グッズが販売される
  • 企業案件で「権利関係を確認したい」と言われ対応できない
  • 海外展開時に名前が使えない

商標登録は、これらに対して
「法的に自分の名前だ」と主張するための根拠になります。


商標登録は「守り」だけでなく「攻め」にもなる

商標登録というと、
「トラブル防止のための守り」という印象が強いかもしれません。

しかし実際には、

  • グッズ・アパレル展開
  • コラボ企画
  • ライセンス提供
  • 法人化・事業化

といった攻めの展開をする際の土台にもなります。

企業側から見ても、

  • 商標登録されている=権利関係が整理されている
  • 長く活動する意思がある

と評価されやすく、
信頼性の向上につながるケースも少なくありません。


まとめ

YouTuber・インフルエンサーにとって、
名前は「ただの呼び名」ではなく、積み上げてきた価値そのものです。

  • まだ小規模だから
  • 個人だから

と後回しにせず、
活動が本格化する前に一度、商標の観点で確認することが、
将来の選択肢を狭めないための重要なポイントになります。


商標の問題は、
実際にトラブルが起きるまで気づきにくい分野です。

当事務所では、活動規模や今後の予定に応じて、
無理のない対応方法をご提案しています。

少しでも不安がある場合は、一度専門家にご相談ください。