せっかく考えたブランド名が、実はすでに誰かの商標だった――。そんな事態は決して珍しくありません。登録に失敗したり、最悪の場合は“商標侵害”と警告を受けてしまうことも。
この記事では、商標登録を検討している初心者の方に向けて、出願前に必ずやっておきたい3つの調査方法をわかりやすく解説します。これを読めば、安心して自分の名前やロゴを使い続けるための第一歩を踏み出せます。
はじめに:なぜ商標登録前の調査が必要なのか
商標はブランドやサービスの「顔」となる大切な権利です。
しかし、調査をしないまま登録申請をしてしまうと、次のようなリスクがあります。
- すでに同じような商標が登録されていて審査で拒絶される
- 他人の商標権を知らずに使い続け、警告や損害賠償請求を受ける
- ビジネスを始めてから名前を変えざるを得ず、信用や費用を失う
つまり、「調査は保険」なのです。本記事では、初心者でも実践できる「商標登録前の3つの必須調査」を、わかりやすく解説します。
調査1:先に登録されていないかを確認する「商標データベース調査」
商標データベースで調べる理由
商標は早い者勝ち。すでに他人が登録していれば、同じ名前や似た名前で登録することはできません。
そのため、最初に行うべきは 「商標が空いているか」 を確認することです。
無料で使える公式データベース
初心者でも使える代表的なツールは以下です。
- 特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
特許庁が公開する公式サイト。登録商標の検索ができる。最新の出願状況や審査情報も確認可能。
検索のポイント
- 完全一致だけでなく、「似ている言葉」も検索する
- カタカナ・ひらがな・ローマ字の揺れも調べる
- ロゴ商標なら図形コード検索も使う
👉 例:カフェ名に「サクラ」を使いたいなら、
「サクラ」「SAKURA」「桜」すべて検索してみましょう。
見落としがちな注意点
- 登録はされていないが、出願中の場合もある
- 類似の業種で登録されていれば使えないことがある
ここで時間をかけて調べておくことで、後の拒絶リスクを大幅に減らせます。
調査2:同業者や市場で使われていないかを確認する「市場調査」
市場調査が必要な理由
商標データベースに登録されていなくても、すでに市場で広く使われている名前を使うとトラブルになりかねません。
たとえば、商標登録していなくても 「周知・著名な商標」 は法律で保護されます。
市場調査の方法
- 検索エンジン(Google・Yahoo)で商品名を検索
- SNS(Instagram・X(旧Twitter)・TikTok)でハッシュタグ検索
- ECサイト(Amazon・楽天・BASEなど)で商品名検索
👉 「この名前はすでに似た業種で使われていないか」を徹底的に調べます。
よくある失敗例
- 登録されていないから大丈夫だと思い、同業者の人気ブランド名を使ってしまった
- SNSでは有名なのに、商標調査だけして見逃してしまった
このように、市場調査を怠ると、後から「不正競争防止法」で訴えられるリスクもあります。
調査3:ドメイン名・SNSアカウント名の空きを確認する「ネット調査」
ネット調査の重要性
商標は登録できても、ネット上の名前がすでに使われているとビジネス展開に支障が出ることがあります。
たとえば…
- 独自ドメイン(.com、.jp)が取れない
- XやInstagramのアカウント名がすでに使われている
- 似たアカウントがあり、消費者が混乱する
調査の具体的な方法
- お名前.com、ムームードメインなどでドメイン検索
- 主要SNS(Instagram、X、TikTok、YouTube)でユーザー名検索
- 商号調査:法務局の商業登記簿で同じ会社名がないか確認
ネット調査を怠るとどうなるか
- 商標は取れても、ブランド名で検索しても自社が出てこない
- ドメインを第三者に先取りされ、高額で買い戻すことになる
- SNS上で「偽物」と誤解され、信用を落とす
👉 ネット時代においては、法的権利とデジタル上の権利はセットで考える必要があります。
まとめ:3つの調査で「安心して使える商標」に
商標登録は単なる手続きではなく、ブランドを守るための戦略です。
- 調査1:商標データベース調査 → 登録済み商標の確認
- 調査2:市場調査 → 実際に使われている名前の確認
- 調査3:ネット調査 → ドメイン・SNS・商号の確認
この3つを押さえておけば、初心者でも安心して商標登録に臨めます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 無料調査だけで十分ですか?
A. 基本的なリスクは把握できますが、専門的な「類似判断」は難しいため、不安なら弁理士に依頼するのがおすすめです。
Q2. 類似かどうかの判断基準は?
A. 商標審査では「外観・称呼・観念」の3要素で判断されます。読み方や意味が似ている場合もアウトになることがあります。
Q3. 調査後すぐに出願すべき?
A. 早い者勝ちなので、使いたい商標が問題なければなるべく早く出願することが望ましいです。
商標登録前の調査でリスクを減らせることは理解できても、「本当にこの名前で大丈夫?」と不安が残る方も多いはずです。
かいせい特許事務所では、初心者の方でも安心してご相談いただけるよう、商標の調査から出願まで丁寧にサポートしています。
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