「BIG BOSS」は誰のもの?新庄剛志監督と商標登録のお話


今回は、プロ野球ファンなら一度は聞いたことがある「BIG BOSS」というワードに関する、ちょっと気になる商標のお話をしてみます。

あの新庄剛志監督が「BIG BOSS」と名乗ってから、ネットでも球場でも大盛り上がりでしたよね。

でも実は、その「BIG BOSS」をめぐって、商標登録にまつわるちょっとしたトラブルがあったんです。

「BIG BOSS」って誰のもの?出願されたのはまさかの…

2021年11月、新庄剛志さんが日本ハムファイターズの監督に就任。

その会見で「僕のことは“監督”じゃなく“BIG BOSS”って呼んでください!」と、いつもの新庄節を炸裂させて話題になりました。

このインパクトたっぷりのあだ名、「BIG BOSS」はすぐに大人気。Tシャツやグッズも飛ぶように売れました。

ところがその直後、なんと全く無関係な一般の方が「BIG BOSS」を商標として出願していたことが判明。

んんっ!?新庄さんや球団は出願してなかったの!?と驚いてしまいますよね。

商標って早い者勝ち?実はそうなんです

日本の商標制度では「早い者勝ち(=一番最初に商標出願した者に権利を与える先願主義)」が基本ルール。

つまり、同じ名称、ロゴ。マークでも先に出願して登録されたら、その人に使う権利が与えられることになります。

なので、先に出願したその方が「BIG BOSS」の商標権を取得してしまうと、球団がグッズなどで自由に使えなくなる恐れがありました。

でも、特許庁はちゃんと見てました

「じゃあ、新庄監督が“BIG BOSS”を名乗れなくなるの?」と心配になりますが、そこは特許庁もちゃんと判断しています。

この出願について特許庁は、以下のような理由で“NG”を出しました。

  1. 公序良俗に反するおそれがある(商標法第4条第1項第7号)
    「BIG BOSS」は新庄監督の愛称としてすでに広く知られていて、全く関係ない人が独占するのは、公序良俗に反するよね…という判断です。
  2. 混同のおそれがある(商標法第4条第1項第15号)
    出所が混同される、つまり消費者が「これは日本ハムの公式グッズだ!」と誤解しちゃう可能性があります。
  3. 不正な目的で出願してるんじゃ?(商標法第4条第1項第19号)
    監督就任直後のタイミングで出願してることから、話題性に乗っかった“便乗出願”と見なされたようです。フリーライドはいかんです・・・。

結果として、2022年9月にはこの出願は拒絶されました。

じゃあ、今は誰が持ってるの?

実は、日本ハム球団もその後急いで「BIG BOSS」の商標を出願しています。でも、先に他人が出願していたので一部は分割して出願することになりました。

親出願は令和4年10月11日に登録されました(登録6625745)。

一方で、子出願については、元々の第三者の出願と内容が重なっていたため、審査が少し遅れましたが、第三者の出願がダメになったことで、令和6年1月25日に登録されています(登録6773287)。

この出来事から学べること

この“BIG BOSS”商標騒動から、商標に関していくつか大切なことが見えてきました。

  • 有名になってから出願するのは遅い!
    愛称やロゴ、ブランド名など、使い始める前に出願するのがベスト。知名度が上がってからだと、今回のように先に出されてしまうリスクがあります。
  • 便乗出願は基本ダメ!
    有名人の名前や流行語を勝手に出願しても、多くの場合は拒絶されますし、場合によっては不正競争防止法に触れる可能性もあります。
  • 商標出願はプロに相談しよう!
    「出しておけば安心」ではなく、どう出願すればいいか、ちゃんとした戦略が必要です。弁理士に相談するのがおすすめです!

まとめ

新庄剛志監督の「BIG BOSS」という愛称を巡る商標の話題、いかがでしたか?

ちょっとしたニックネームでも、大きなブランドになりうる今の時代。商標の重要性はますます高まっています。

もしあなたがこれからブランド名を考えているなら、「この商標、出願しておいたほうがいいかも…」と意識してみてくださいね。

分からないことがあれば、気軽に弁理士にご相談ください。「BIG BOSS」のように、あなたの大切な名前もきっと守れるはずです!