ChatGPTにアイデアを出してもらった。
生成AIで設計案を整理した。
コードの骨子をAIに作らせた。
こうした開発スタイルは、すでに当たり前になりつつあります。
そこで生まれる疑問が、
「生成AIを使って生まれた発明は、特許になるのか?」
結論から言うと、
“人が発明したと言えるなら” 特許は取れます。
ただし、「AIが発明者だ」と主張すると、
特許は認められません。
その根拠となる実在の裁判例があります。
実在の裁判例:DABUS事件とは何だったのか
この問題を語る上で欠かせないのが、いわゆるDABUS事件です。
AI研究者のStephen Thaler氏は、
自身が開発したAI「DABUS」が自律的に発明を生み出したとして、
発明者欄にAIの名前を記載して特許出願を行いました。
この出願は、
- 特許庁
- USPTO
- European Patent Office(J 8/20)
- 米国連邦巡回控訴裁判所(No. 21-2347)
- 英国最高裁([2023] UKSC 49)
など、主要国で審査・裁判の対象となりました。
結論は一貫しています。
発明者は自然人(人間)でなければならない。
AIは発明者になれない。
つまり、
- 「AIが発明した」と主張した出願は
→ 認められませんでした。
では、生成AIを使った発明はすべてダメなのか?
答えは NO です。
DABUS事件で否定されたのは、
- 「AIを使ったこと」ではなく
- 「AIを発明者としたこと」
です。
各国の判断は、概ね次のように整理されています。
- AIはあくまで“ツール(道具)”
- 発明とは、人が課題を認識し、解決手段を創作すること
- 人の創作的関与があれば、特許は成立し得る
つまり、
ChatGPTを使っていても、
人が技術的判断をしていれば問題ない
というのが現在の実務の立場です。
どこまで人が関与すれば「発明」と言えるのか?
ここが実務上の重要ポイントです。
例えば、次のようなケースを考えてみましょう。
ケースA
- 課題を人が設定
- AIに複数案を出させる
- 人が比較検討し、構成を選択・改良
→ 人の創作性あり
ケースB
- AIが自動生成した内容を
- そのまま提出
→ 発明者性が弱い可能性
特許の世界では、
「誰がどこで創作的判断をしたか」
が問われます。
AIは、
- CAD
- シミュレーションソフト
- 設計支援ツール
と同様に、「高度な道具」として扱われています。
実務上の結論
現時点の制度と裁判例を踏まえると、結論は明確です。
- ChatGPTや生成AIを使っても特許は取れる
- ただし、発明者は人間である必要がある
- 人の創作的関与を説明できることが重要
生成AIは、
発明を“代わりにする存在”ではなく、
発明を“加速させる道具”
という位置づけです。
まとめ
DABUS事件によって、
- AIは発明者になれない
- しかしAIを使った発明は否定されない
という実務の基準が明確になりました。
生成AIを活用する時代だからこそ、
- 発明の本質はどこにあるのか
- 人がどの部分を創作したのか
を整理することが、
これまで以上に重要になります。
AIを使った発明について、
- 特許出願できるのか
- 発明者の整理はどうすべきか
- 出願書類でどこまで説明すべきか
不安がある場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。
