2025年、江崎グリコの人気お菓子「ポッキー」が、日本で立体商標として正式に登録されました。
「立体商標って何?」「形まで商標になるの?」と思った方も多いはず。実はこの登録、ただのニュースではなく、ブランド戦略や知的財産の世界においても大きな意味を持つ出来事なのです。
今回の記事では、ポッキーがなぜ形そのもので商標を取れたのか、その仕組みや背景を専門用語をできるだけ使わずにやさしく解説します。お菓子好きの方はもちろん、商品企画やデザインに関わる人にも役立つ内容です。
ポッキーが立体商標として認められたニュース
2025年、江崎グリコの人気お菓子「ポッキー」が、日本で立体商標として正式に商標登録されました(商標登録第6951539号)。

「立体商標」という言葉はあまり聞き慣れないかもしれませんが、これは商品の形そのものを商標として保護する制度のことです。今回の場合、ポッキーの特徴的な「細いスティック状のビスケットにチョコレートが部分的にコーティングされた形」が登録対象となりました。
このニュースは製菓業界だけでなく、知的財産の世界でも注目を集めています。なぜなら、形だけで商標を取るのはハードルが高く、特に食品では例が少ないからです。グリコの長年のブランド戦略が実を結んだ結果とも言えます。
立体商標とは?やさしく解説
商標と聞くと、会社や商品のロゴマーク、文字、イラストなどを思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、実は商標にはいくつか種類があります。
- 文字商標:文字や言葉を保護(例:「ポッキー」の文字)
- 図形商標:イラストやマークを保護(例:ポッキーのロゴデザイン)
- 立体商標:商品の形状や立体的な構造を保護
立体商標は「その形を見れば誰が作った商品かわかる」ことが条件です。単に機能上必要な形や、他社も当然に使う形では登録できません。
海外では、コカ・コーラの独特な瓶の形や、トブラローネの三角形チョコレートの形が有名な立体商標です。日本国内でも、キッコーマンのしょうゆ卓上ボトルや、ヤクルトの容器などが登録されています。
ポッキー立体商標登録の詳細と背景
今回登録されたポッキーの立体商標は、ビスケット部分が持ち手となり、その先にチョコレートがコーティングされている特徴的な形状です。
登録日は2025年初頭、登録番号は特許庁の公報に記載されています。申請から登録までには数年かかっており、その間、グリコは消費者調査や広告などで「形そのもの」の認知度を高めてきました。
背景には、近年の模倣品対策があります。スティック状のチョコ菓子は世界中で人気ですが、ポッキーと似た形の商品も増えています。形を商標で保護することで、デザインを真似されるリスクを減らし、ブランドの独自性を守ることができます。
商標登録がもたらす業界・市場への影響
ポッキーが立体商標を取得したことで、製菓業界には大きな影響があります。
まず、ブランド保護が一層強化されます。今後、他社がポッキーとほぼ同じ形の商品を販売すると、商標権侵害にあたる可能性があります。これにより、ポッキーは長期的に「唯一無二の形」を保持できます。
また、他の食品メーカーも「自社商品の形を商標登録する」動きが加速するかもしれません。たとえば、独特な形のパン、和菓子、スナックなども、認知度と独自性が証明できれば立体商標を狙えるのです。ただし、商標登録のためには、立体商標に識別力があることを証明しなければならないのですが、これがむちゃくちゃ難しいです。
一方、消費者にとっては、ブランドの信頼性が高まり、安心して商品を選べるメリットがあります。他方で、競争が制限されることで価格やバリエーションが減る可能性もあり、そのバランスが課題となります。
今後の展望とまとめ
- ポッキーは2025年に立体商標として登録
- 形そのものを保護する制度は取得が難しい
- ブランド独自性の維持や模倣品対策に効果的
- 他業界にも波及する可能性大
今回のポッキー立体商標登録は、日本の知的財産制度の中でも象徴的な出来事です。企業にとっては、単に商標を守るだけでなく、「形」という視覚的ブランド資産をどのように育てていくかが重要になります。
例えば、化粧品のボトル形状、家電の独特なフォルム、キャラクター商品の立体デザインなど、今後は食品以外の業界でも立体商標を活用した差別化戦略が広がっていくかもしれません。
ポッキーの立体商標登録は、形やデザインがどれほどブランドにとって重要かを教えてくれる事例です。
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