今回は、2023年に注目を集めた「NEGI」ロゴの商標出願について、商標法の観点から解説していきます。
「NEGI」ロゴとは?
2023年、特許庁に出願された「NEGI」というロゴが話題となりました。
このロゴは、スポーツブランド「NIKE」のロゴに似たデザインで、文字のフォントや配置が類似していると指摘されています。

しかし、実際には「NEGI」という文字が使用されており、「NIKE」に対して全く同一というわけではありません。
出願された商標は、令和5年7月20日に登録されています(登録6719087)。
つまり、特許庁は「NIKE」とは非類似であると判断したのです。
商標法における類似の判断基準
商標法では、他人の登録商標と「同一または類似」の商標であって、同一または類似の商品・役務について使用するものを登録しない旨を定めています(商標法第4条第1項第11号)。
しかし、類似の判断は、外観(見た目)、称呼(読み方)、観念(意味)などに基づいて総合的に判断されます。
「NEGI」ロゴの場合、外観が「NIKE」のロゴに似ていると感じる人もいるかもしれませんが、称呼(読み方)や観念(意味)は異なります。また、指定商品・役務が異なる場合、混同の可能性が低いと判断されます。
パロディ商標としての位置づけ
「NEGI」ロゴは、いわゆるパロディ商標の一例と考えられます。
パロディ商標とは、有名な商標を模倣し、ユーモアや風刺を加えた商標のことです。
過去には、「CUGGL」(登録6384970)や「OCOSITE」(登録631037、登録6932053)などのパロディ商標が出願され、話題となりました。
ただし、パロディ商標が登録されるかどうかは、元の商標との類似性や混同の可能性、不正の目的があるかどうかなど、さまざまな要素を考慮して判断されます。
商標出願の意図と戦略
「NEGI」ロゴの出願者の意図は明確ではありませんが、話題性やユーモアを狙った可能性があります。
また、商標出願を通じて、ブランドとしての差別化や注目を集める戦略をとっているとも考えられます。
しかし、他人の有名商標に似た商標を出願・使用する場合、商標権侵害や不正競争防止法違反、あるいは著作権法違反に該当する可能性があるため、注意が必要です。
まとめ
「NEGI」ロゴのようなパロディ商標は、商標法における類似の判断基準について考える良い機会となります。
ご自身の商標出願を検討する際は、他人の商標との類似性や混同の可能性、不正の目的がないかなどを十分に検討したほうがよいです。
必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。